学習マネジメント塾は”塾”という名前を使ってはいますが、最終的には部活動に近い形態にしようと考えています。つまり、“勉強部”のようなものを目指していると考えて頂きたいです。想像して頂きたいのですが、例えば学校の体育の授業で野球のテストがあったとした場合、野球部員以外の生徒達は野球部員の生徒にはまず勝てないでしょう。これは他のスポーツや文化活動においても同じことです。
野球部と野球で勝負しても勝てる訳がない。
サッカー部とサッカーで勝負しても勝てる訳がない。
バスケ部とバスケットボールで勝負しても勝てる訳がない。
柔道部と柔道で勝負しても勝てる訳がない。
将棋部と将棋で勝負しても勝てる訳がない。
吹奏楽部と楽器の演奏で勝負しても勝てる訳がない。
書道部と書道で勝負しても勝てる訳がない。
・・・ということになるはずです。
では、もし”勉強部”があれば、“勉強部と勉強で勝負しても勝てる訳がない”という状況を作れるはずです。
塾の形態よりも学習塾の形態の方が優れている
私は勉強にしろスポーツにしろ、人が何かを習得する際には塾よりも部活動の形態の方が優れていると考えています。その要因は以下のようなものでしょう。
- 活動時間が長い
- 基礎訓練が徹底している
- 生徒自身の決断の余地が大きい
- 生徒同士での協力・助け合いがある
- 先輩・後輩とのコミュニケーションが多い
これらについて、順番に解説していきます。
活動時間が長い
通常の学習塾は一回の授業時間が1時間半~2時間で週に1回か2回程度というのが一般的です。つまり学習塾の場合、週に2~4時間程度の活動ですが、部活動の場合は平日に3時間としても週に15時間は活動時間があります。単純計算でも部活動は学習塾の5倍程度の時間を確保できていると言って良いでしょう。活動時間に5倍も差があれば、その成果にも大きな差が出るのは当然です。
では、何故通常の学習塾では多くの活動時間を確保できないのでしょうか?それは、長時間の指導を行うと人件費のコストが大きくなるからです。大多数の学習塾は”優秀な講師による個別指導”などを売り文句にしていますが、”優秀な講師”が安い給料で働いてくれるはずがありません。講師が長い時間指導をするのであれば人件費が増大し、塾の経営が成り立たなくなってしまいます。そのため、大多数の塾が”短時間で効果を出す”という考え方にならざるを得ないのです。
それに対し、学習マネジメント塾では、丁寧な個別指導などは行わない代わりに仕組み化によって効率を維持しつつ、長時間の指導を行います。「丁寧な指導をしてくれないなら、効率が悪いのでは?」と思われるかもしれませんが、マネジメントは”人の能力”ではなく、”仕組み”によって成果を出すという考え方です。仕組みによって効率を維持し、学習時間を確保できれば、丁寧な指導が無くても一定以上の成果は必ず出ます。
部活動では数十人の部員が居る場合であっても指導者は1人か2人程度ですし、時にはその部活動の経験の無い先生が顧問を務めている例すらありますが、そういった部活動であっても、ある程度の成果を出しているところはかなりあります。このことからも、優秀な指導者の丁寧な個別指導を受けることよりも、当たり前の訓練を継続し続けることの方がはるかに成果につながると考えられます。
基礎訓練が徹底している
運動部なら筋トレ・柔軟体操・走りこみなどの基礎練習を全員で一緒にやっていますし、合唱部や演劇部であれば発声練習を毎日欠かさず行っているはずです。スポーツでも勉強でも実力とそれにともなう成果は、何か特別な方法によって得られるのではなく、地道な基礎訓練によって支えられています。実際、一流選手ほど基礎訓練を怠らないものです。
勉強においても基礎訓練(計算問題を解く、英単語を覚える、など)を毎日徹底的にやるということが成果を出すのに必要であることは疑いようの無いことです。しかし、週に1回か2回の学習塾では毎日きちんと基礎訓練をするということが出来ませんし、基礎訓練では他の塾との差別化も難しいでしょう。そのため、基礎訓練は生徒が家庭学習で行うように指導し、学習塾では何か画期的な指導で差別化するという考え方になってしまいます。ですが、「基礎の勉強を家でやりなさい」と指導してきちんとやる生徒であれば、塾に来なくても良い成績を取っているでしょう。
そのため、部活動のように全員が一緒に基礎訓練をする時間を持つということは実に理にかなった活動だといえます。全体のレベルの底上げになるということもありますが、基礎訓練を各自に任しているとサボる人間が必ず出ますので、それを防止する効果もあります。
生徒自身の決断の余地が大きい
部活動は学習塾に比べ、生徒自身が活動方針を決める部分が大きいことも成果に繋がりやすい理由の一つだと言えるでしょう。通常、学習塾では講師がカリキュラムを決め、一人ひとりの生徒を指導をしていきますが、そのままでは生徒は受身になりがちであり、何故自分がこの勉強をしているのかも理解しないまま「先生がやれと言うから」というだけで漫然と勉強をしているというケースも多くあります。
当塾は勉強のマネジメントを教える塾ですが、このような主体性を持たない生徒にマネジメントは絶対に無理なのです(詳しくはマネジメントを行う上で絶対に必要なもののページを参照願います)。勉強やスポーツにおいても主体性と責任感を持ち、自身の決断によって行動を起こす人間の方遥かに成果を出すことができます。そのため、生徒自身の決断の余地が大きい部活動の方が学習塾よりも成果を出しやすいと言って良いでしょう。
生徒同士での協力・助け合いがある
部活動であれば、生徒同士の助け合いがあるのが普通ですが、学習塾は通常、教師→生徒への一方通行であり、生徒同士で助け合うことはほとんどありません。しかし、この生徒同士の助け合いによって勉強の効率化やモチベーション向上が実現できます。
勉強は通常「何かを覚える」というインプットの行為であるというイメージが強いですが、実は勉強はアウトプットがインプットと同じぐらい重要です。例えば、単に「この本を読みなさい」だけではなく「この本を読んで要点をまとめて報告しなさい」の方がはるかに集中力を持って読むことができます。また、「人に教える」という行為は教えてもらう側にのみメリットがあると考えがちですが、実は教える側にも大きなメリットがあります。教えるという行為は非常に効率的なアウトプットの活動です。そのため、教え合いの活動をより促進することで大きな成果をあげることができます。更に、優秀な生徒が持つ効率的な勉強法などを結集し、それを共有し合うことでより効率的な学習を行うこともできます。
先輩・後輩とのコミュニケーションが多い
通常の学習塾は学年ごとに完全に分離されており、先輩・後輩のコミュニケーションがほとんど無いという例が多いですが、学習塾に限らず何らかの組織や共同体を維持しようと考える場合、上下のつながりがある方が適度な緊張感が生まれるため、秩序維持や業務の効率化を実現できます。
先輩・後輩の関係があれば、後輩は先輩に叱られないように頑張り、先輩は後輩にバカにされないように頑張ることができます。また、先輩として後輩に指導をするという経験を持つ方が「教師に教えてもらう生徒」としてしか活動しないよりも当塾が重視する「責任を負う覚悟」をより強く持つことができます。
私は学生の頃から、勉強を部活動のように行う”勉強部”のようなものを作ることができないか?と考えていました。製品開発の業務を通して学んだマネジメントの手法と部活動の活動形態を組み合わせれば、必ず大きな成果を出すことができると私は確信しています。