全く何もできていない状態を0、全てができた状態を100とした場合、最も大変なのはどこでしょうか?私は0を1にするのが最もハードルが高いと考えています。0と1の間には天と地ほどの差があるのです。
0を1にするのが最も大変
今年引退したイチロー選手はメジャーリーグで3089本安打(プロ野球人生通算では4367本安打)を達成し、誰からも凄いと言われていますが、この偉業を達成するのに一番大きな壁はどこにあるでしょうか?私は最も大きな壁は最初の1本目だったと思います。普通の人にはメジャーリーグの選手としてバッターボックスに立つこと自体がほぼ不可能なことです。仮にメジャーリーグで1本だけしか安打を打てずに消えていった選手であっても、メジャーリーグで1本の安打を打つことが出来ているという時点で我々のような野球の素人とは天と地ほどの差があると言って良いでしょう。
ビジネスの世界においても最も大変なのは、プロジェクトを立ち上げたり、起業したりして最初の「1円」を売り上げることです。研究の世界でも、全く何も分かっていない状態で行うのと、ほんの一つだけでも手がかりがある状態で行うのとでは難易度が全く違います。たった「1」の成果なんか意味が無いと言う人も多いかもしれませんが、ビジネスにせよ、勉強にせよ、何かに取り組む時には、0の状態から1の状態にすることが非常に重要であり、最も大変なのです。
仕事において0を1にする
仕事において、ある仕事(業務A)を1ヶ月以内に仕上げて欲しいと依頼されましたが、その時はより優先度の高い別の仕事(業務B)をしていたため、業務Bを終えてから業務Aに取り掛かろうと考えたとします。この場合、業務Bが完全に終わるまで業務Aを全く手付かずの状態(0の状態)にしておくことは好ましくありません。業務Bで忙しくても、例えば「業務Aに関わる関係者に電話で連絡をしておく」「業務Aを完了させるのに何が必要かを確認する」などを行っておき、業務Aの進捗を0から1にしておくべきです。いざ業務Aの仕事を始めた時に、かなり前から関係者に連絡済みであったり状況の概要を把握していた場合では、全く手付かずで始めた場合よりはるかにスムーズに進むはずです。
このように、仕事においては複数の業務をこなさなくてはならない時、要領の良い人は業務を一つずつ0から100にするのではなく、いったん抱えている全ての業務を0から1の状態にすることで、業務を効率よく進めているのです。
勉強において0を1にする
勉強においても、0を1にするということは非常に重要です。この場合、0の状態とは「1日に全く勉強をしていない状態」のことであり、1の状態とは「1日に1分程度勉強をする状態」だと考えて頂ければ良いでしょう。1日にたった1分勉強した程度で何になるんだ?と思われるかもしれませんが、1日に1分必ず勉強するのと、全く勉強をしないのとでは大違いです。何故なら、勉強というものは取り掛かるまでが最もハードルが高いからです。
毎日1分必ず勉強をする習慣を身に付けることができれば、それを毎日10分にし、毎日30分にし、毎日1時間、毎日2時間と増やしていくことはそこまで困難ではありません。何故なら、人は取り掛かった時点では「1分だけ」と思っていても、実際には1分で終わらそうとはせず、結構集中力が続くことが多いからです。そのためには、まず必ず1日に1分の勉強時間を確保することを徹底することから始めなくてはなりません。
受験勉強のやり方についてYoutubeで解説をしているある塾経営者が「30秒勉強法」というものを推奨しているのを見たことがあります。その人は自分の生徒に「30秒でいいから勉強しよう」という気持ちで毎日必ず勉強に取り組むよう指導して、実際に大きな成果が出たと言っていました。これはまさに0を1にするという考え方による成功事例だと言って良いでしょう。
0を1にするという考え方は、勉強、研究、仕事、スポーツなどの様々な分野において、非常に重要になります。自分が何かを始める時には「1で良いから成果を出そう」という気持ちで取り組み、人を指導する時は「最初は1の成果を出せれば上出来」と考え、1の成果を大切にすることが最終的には大きな成功に繋がると言っても過言ではないでしょう。