勉強の最終目的の記事でも書きましたが、勉強に限らず、人は何かを行う時に自分自身が最終的に何を目指しているのかということを常に意識しなくてはなりません。そして、人と協力して何かを行う際には、両者の間に”目的の差”が無いかをきちんと考え、その差によって生まれる齟齬を最小化する必要があります。

 

他人は自分の目的しか考えていない

まず、認識しなくてはならないことは、他人は通常”自分の目的”しか考えていないということです。これはある意味当たり前のことではあるのですが、ここを忘れて、他人が自分の目的のために尽力してくれるはずと考えてしまうと痛い目に遭います。

例えば投資において、銀行や証券会社や投資物件のセールスマンの言うままに株や投資商品を購入した場合、大抵(と言うか100%)損をします。この場合、セールスマンは「お客様の幸せのために」とか「お客様の豊かな生活のために」などと言ってきますが、セールスマンが”客の幸せ”を目的に仕事をしているはずがありません。セールスマンにとっての目的はあくまで会社の売上と自分のセールス成績を上げることによって報酬を得ることです。

そもそも、他人に勧められた儲け話の記事でも書いた通り、本当に儲かる投資であれば他人に教えるはずがないのです。本当に儲かる投資商品には自分で投資をし、客には手数料がバカ高いボッタクリ投資商品やろくに採算が取れないゴミ不動産を売りつけるに決まっています。これは自分とセールスマンとの間の”目的の差”に着目すれば、何となく理解できることではないでしょうか。

 

協力するためには共通目的と信頼関係が必要

会社の経営者と社員の関係などでも、同様の”目的の差”が存在しています。経営者は会社の売り上げや利益を大きくすることが目的です。そのため、社員にも会社の利益を最大化することを目的にするように求めますが、社員が必ずしも会社の利益の最大化を目指しているとは限りません。ほとんどの社員が考えていることは”会社の利益”よりも”自分の利益”です。つまり、自分の報酬を増やすことや待遇を改善することこそが社員の目的だと言って良いでしょう。

ただ、最終目的に差があることは仕方ありませんが、それでも力を合わせるためには、両者の間で共通の目的を設定し、その共通目的を達成することでお互いの最終目的を達成できるという信頼関係を築く必要があります。経営者と社員の関係で言えば、会社が利益を得た時には、その利益を社員にも還元することを約束し、それを確実に実施することが必要です。昭和の時代の日本企業には経営者と社員の間にこの信頼関係があったからこそ、社員が会社のために必死に働き、大きく発展してきたと言えるでしょう。

 

学習マネジメント塾における目的の差への対処

学習塾に通う生徒の本来の目的は「成績を上げること」や「志望校への合格」ですが、一般的な学習塾の目的はそうではありません。学習塾と言っても民間の営利団体なのですから、本来の目的は利益の確保です。そのため、究極のところ、生徒が多く集まり、月謝をきちんと支払ってもらうことが出来れば、生徒が全員不合格でも学習塾は全く問題は無いのです。

実際、ある予備校で「志望校に合格するためにはどうすれば良いか?」と講師に訊いたら、「たくさん講座を取ることだ」と言われたので多額のお金を支払って多くの講座を取ったが大して成績は上がらず、しかもその講師は予備校の売り上げに貢献したことで表彰されていた、というような話もあります。

学習マネジメント塾でも、もちろん利益は追及します。そこを否定することはできませんし、そもそも利益を出さなくては塾を存続していくことができません。ですが重要なのはその戦略です。生徒の成績のことも考えずに利益ばかり追求するようなボッタクリ学習塾であれば、いずれ評判が地に落ちて生徒が来なくなることは目に見えています。そのため、「生徒の成績を上げること」に集中し、それを生徒との共通目的とすることが学習塾の経営戦略としても正しいと言えます。その目的さえ達成できれば、利益などは後から付いて来るのです。生徒は志望校に受かり、塾は大きな収益を得ることができれば、まさにwin-winの関係と言えるでしょう。

生徒や保護者の方々は、学習塾が最終的には塾の収益のためとは言え、戦略的に「生徒の成績を上げること」を目指しているかをきちんと見極める必要があります。もちろん学習マネジメント塾もそれを目指しています。それについては信じて頂きたいですが、私が「信じて下さい」と言っても意味はありませんし、”信頼”はお願いして得るものでもありません。まずはコンセプトのページやコラム記事をお読み頂き、当塾の考えをご理解頂けますと幸いです。