人はついつい、現在の状況がこれから先もずっと続くと考えてしまいがちです。現実にはそんなことがあるはずがないことは皆知っているはずですが、それを前提に人生を考えている人が多い様に見えます。

 

現状が続くという幻想の弊害

私は子供の頃、父と母がいて、兄弟がいて、自分はずっと子供のままの生活が続くと心のどこかで思っていました。また、風邪をひいたりインフルエンザになって数日間寝込んだ時、自分はもうこれから先ずっと元気になれないのではないかという不安な気持ちに襲われることもあります。現実にはそんなことはあるはずないということは分かっていても、その様に感じてしまうのです。同じようなことを感じた人も多いのではないでしょうか?

ですが、この「現在の状況がずっと続く」と言う幻想は多くの場合、悪い結果をもたらします。何故なら、その幻想は現在下積みの努力をしている人にとっては徒労を感じさせることになり、恵まれた環境にある人にとっては慢心や油断を生むことになるからです。

受験勉強をしてる時、特にに浪人している時などは自分はこれから先一生浪人生活を押し続けなくてはならないのではないかという不安に襲われることはあるでしょう。株式投資などにおいても、値上がりし続けたらこれから先永久に値上がりし続けるのではないか、逆に値下がりし続けたらこれから先永久に下がり続けるのではないかという風に思い込み、結果的に株価が上がっている時に買ってしまい、下がってる時に売ってしまうということは、よくあることです。

このような状況を乗り越えるためには、未来は必ず良い方向に変えられると信じて耐え続け、行動し続ける胆力が求められます。ですが、これを持っている人は少ないでしょう。

 

現状が続くという幻想が行動力を奪う

変化を日常の一部にするの記事でも触れましたが、人間には現状を維持したいという本能が備わっています。そして、人は”何も行動を起こさなければ、現在の状況がずっと継続する”という幻想を感じるものです。この二つが組み合わされば、「何も行動を起こさなければ、今と変わらない状況を維持できる」と考えてしまうのです。そうなれば、結論は「何もしない方がいい」になります。ですが、実際には何も努力をしなかった場合、現状維持すら困難です。例えば、「別に出世なんてしなくても、今の役職、今の給料のまま定年まで勤められればそれで良いや」と考えていた会社員がいきなりリストラされるというようなことが起こり得るのです。

特に若い頃は自分が歳をとった姿は想像すらしないのが普通です。そのため現在の気楽で楽しい状況がこれから先もずっと続くという風に考えてしまうのです。ニートや引きこもりを呼ばれる人たちが何も行動せずに時間を浪費し続けられるのもこの幻想があるからでしょう。

 

幻想に惑わされずに行動するには

人は、特に若い頃は現在の状況が永遠に続くと心のどこかで信じてしまっているものです。その幻想を持っている生徒に、「将来のために今は我慢して頑張るべき」などと言っても心に響かないでしょう。それを自力で解決するだけの胆力を全員が身に付けることができれば良いのですが、それも容易ではありません。

そこで当塾が推奨するやり方は「仕組み化」です。心に響くような言葉によって心を変えさせるよりも、行動を起こすしかない様な仕組みを生活の中に取り入れることで、淡々と少しずつ変えていくことを習慣化する方が効果的だと私は考えます(仕組み化についての詳細は教育と仕組み化のページおよび仕組み化の重要性の記事をご参照願います)。例えば、一週間の計画を立て、その進捗報告を毎日するということを日常生活の一部に落とし込むことが出来れば、いずれはコツコツ努力することを食事や睡眠と同じレベルで行うことができるでしょう。

そして、自分がどのように動くべきかを主体的に考えて、自ら行動し続けることも日常の一部として落とし込むことが出来れば、状況が変化することを当然と考え、それに対応するための行動も出来るようになります。つまり、自分自身の人生のマネジメントが出来るようになるということです。これこそが学習マネジメント塾が目指す姿だと言えます。