この記事を書いているのは2020年3月ですが、新型コロナウイルスの影響により様々なイベントが自粛され、全国の学校が臨時休校になり、今世間ではこの話題で持ちきりです。しかし、その中でウイルスそのもの以上に私がうんざりさせられたことは、”消費者マインド”しか持たない人の存在です。

消費者マインドとは「対価を払えば完璧な商品やサービス・安全な暮らし・豊かな生活などを提供してもらえて当然」という考え方です。この”消費者マインド”はマネジメントとは対極に位置する考え方だと言えます。

 

消費者マインドの人たち

現在の日本では、新型コロナウイルスの騒動の真っ最中ですが、そのためにいつも以上に”消費者マインド”の人の存在が目立つようになってきています。それらについて、以下に書いてみます。

 

消費者マインドの客
現在、新型コロナウイルスの影響でマスクやトイレットペーパーが品切れの状態です。そのため、ドラッグストアの店員に八つ当たりのような態度で「何で無いんだ!」「いつ入ってくるんだ!」と怒鳴り散らしたり、一日に何回も電話で問い合わせをしたりする人がいるため、お店の人が大変迷惑しているそうです。そういう人たちは「自分は金を支払う客の立場なのだから、自分のためにきちんと商品を提供できるようにするのが当然」と考えているのです。そこに店員の苦労を労わる気持ちや感謝の気持ちなど欠片もありません。

 

消費者マインドのマスコミ
政府の対応についても文句しか言わず、現実的な対案を出さない無責任なマスコミやコメンテーターも国家に対する消費者マインドをこじらせている典型だと言えるでしょう。私が何より理解に苦しむのは、政府がこの1,2週間が山場だからということで、全国の学校の臨時休校を宣言した際に、「十分に検討したのか?」とか「休校でウイルスを食い止められる根拠を示せ」などと言い、「説明責任が果たされていない!」と言う人が多いことです。ですが、全く時間が無い中でそんなことができるはずが無いのです。

仕事をしていれば、何が正しいか分からない、結果がどうなるかも分からない、じっくり検討する時間も無い、という状況で思い切って決断を下さなくてはならないこともあります。そういう時に無責任な外野から「十分に検討したのか?!」とか「確実に大丈夫な根拠を示せ!」などと言われることほど嫌なことはありません。そのような発言をする人は仕事でギリギリの判断を迫られた経験が無いのでしょう。

政府に対して無責任な批判しかしない人たちは「俺たちは税金を払ってるんだから、完璧な安全を国が保証して当然」と考えているのでしょう。このような消費者マインドの人がマスコミを中心に多すぎるように思います。

 

消費者マインドの会社員
新型コロナウイルスとは直接関係はしませんが、普通に仕事をしてる会社員の人でも「会社に労働力という対価を提供しているのだから、会社が豊かな生活を保証するべき」と考えてる場合は、消費者マインドになっています。こういう人は突然リストラされた時に「自分は今まで会社の為に頑張って働いてきたのに、ひどい!」と言い始めます。しかし、残酷な話ですが”頑張ってきたこと”と”会社に価値を提供できていたか”ということは全く別の話です。

自身の人生を自分で切り抜ける覚悟のある人は、自分が会社に対してどれだけの価値を提供できているかを常に考えていますし、会社が倒産した後も生きて行くことができるように準備しているものです。

 

消費者マインドの家族
家族の間でも消費者マインドになってしまっている例はよく見られます。もし専業主婦の人が、「主婦として家事や育児をきちんとしていれば、豊かな生活は全て配偶者が保証してくれるはず」などと考えていたとしたら、これも消費者マインドです。この場合、もし配偶者が急死したり、リストラにあったりした場合、「私はこれからどうしたらいいの?!」などと言うだけで生活が破綻するでしょう。そのようなことになった責任は配偶者にではなく、自分自身にあるということを理解しなくてはなりません。

専業主婦の中にも配偶者が働けなくなった時のことを考えて仕事のスキルを磨いたり、サイドビジネスを始めたりしている人もいるのです。全ての主婦がそうであるべきとは言いませんが、配偶者からの収入が無くなった時にパニックを起こさないように最低限の準備は必要でしょう。

 

 

マネジメントと消費者マインド

消費者マインドの人に共通しているのは、現在起こっている問題に対して徹底的に”当事者意識”を持っていないということです。つまり、「この難局を自分の力でどのように切り抜けるか」ではなく、「多少対価を支払うだけで、周りが全部何とかしてくれるはず」と考えているということです。それに対し、マネジメントはあらゆる問題を自分の問題と認識し、主体性を持って行動し続けなければなりません。つまり、消費者マインドはマネジメントとは対極の考え方です。

通常の学習塾においても、なかなか成果が出ない生徒さんがおられますが、私は多くの場合、生徒が”消費者マインド”でいることに原因があるように思います。つまり「(親が)月謝を支払ってるんだから、塾が俺の成績を上げてくれて当然」と考えているということです。しかし、学校の成績も大学受験も生徒自身の問題であり、その責任も全て生徒自身にあります。それなのに、「~が何とかしてくれる」というようなどこか他人ごとのように考える消費者マインドを持っていては成果など期待できないでしょう。

学習マネジメント塾では、学習に必要なマネジメントを教えていますが、マネジメントを行う上ではこの消費者マインドを徹底的に捨て去ることから始めなくてはなりません。だからこそ、これまで何度も書いているように、当塾では生徒の主体性や責任を持つ覚悟を最も重視しているのです(詳しくは、マネジメントを行う上で絶対に必要なもののページを参照)。

これは、社会を生き抜く上でどの教科の勉強よりも重要なことだと私は考えています。そして、私の塾の生徒全員が自分の将来に対して当事者意識を持ち、ドラッグストアの店員に八つ当たりするような人間が一人も出ないことを願っています。