世の中では、ミスをした人に「反省しなさい!」と言う人が多いですが、正しい意味での反省というものを出来ている人は意外と少ない様に感じます。と言うのも、”反省すること”の意味を”落ち込むこと”だと勘違いしている人が多いのです。
もっとも、人が起こす問題は”教育と仕組み化”でも触れたように「悪意や不正によって起こる問題」と「過失や怠惰によって起こる問題」があり、前者であれば人間の悪い心が起こしている問題なので、何らかの罰を受け入れたり反省を態度で示す必要もあるでしょう。しかし、「過失や怠惰によって起こる問題」に対する反省は態度で示すようなものとは全く違います。
ミスに対する”反省”とはリカバリーと改善活動
何らのミスによって人に迷惑をかけてしまった場合、迷惑をかけた人への謝罪は必要ですが落ち込む必要は全くありません。そのような場合は、まず自分がしたミスをリカバリーするための行動を起こし、次に再発防止のための改善活動を行わなくてはならないのです。それなのに、落ち込んでいたらそのような行動を起こすこともできなくなってしまいます。つまり、落ち込むことはデメリットしか無いのです。
もし、私が上司の立場で、ミスをして落ち込んでいる部下を見たら、「君が落ち込んでいても、状況は何も改善しないよ。状況を改善するための具体的な行動を早くしてくれ。」と言うでしょう。それを酷いと言う人もいるかもしれませんが、ただ落ち込んでいるだけで何も行動をしなければ、余計に辛くなるだけです。それならば、さっさとその状況を改善するための行動を起こした方がずっと精神的には楽になるのではないでしょうか?
叱られた直後に改善の提案ができる人の方が望ましい
実は、ミスをして上司に叱られた直後に「では、このようにします」と改善案を提示することができる人の方がはるかに良いのです。もし、叱責を受けた部下がその直後に涼しい顔で改善の提案をしてきたら、「こいつは本当に反省しているのか?」と思う人もいるかもしれませんが、私はそのようにできる人の方がよほど安心して仕事を任せられます。何故なら、最終的な成果の差はミスをしたかしないかで出るのではなく、ミスをした後にどのように対応したかで出るからです。
ミスは誰でもある程度はするものです。社会人であればミスをして上司や先輩に怒られた経験が一度も無い人など居ないでしょう。つまり、上司に叱られたとしてもそれは「誰もが当たり前に経験していること」が起こったに過ぎないのです。
上司に叱られた後に「僕はこんなに反省してます」というアピールのために落ち込んだ姿を見せる人が居た場合、周囲の人に気を使わせるだけです。または、「こんな可哀想な僕を慰めて下さい」アピールの場合もありますが、それも周囲の人にとってはプレッシャーになるだけでしょう。上司が部下を恐怖で支配しようと考えているのであれば話は別ですが、上司にとっても叱責した部下が業務の改善を行った上で落ち込むこともなく元気に仕事に打ち込んでいる方が良いに決まっています。
仕事において、ミスに対する正しい”反省”とはリカバリーと改善活動を素早く行うことであり、それが出来る人の方が最終的には上司から評価されるということは認識しておいた方が良いでしょう。