人は何もせずに長時間ダラダラと過ごしてしまうと、不安になるものですが、勉強したり、体を鍛えたりすると充実感や安心感を得ることができます。ですが、この充実感や安心感を得ることを目的に”楽な努力”ばかりするようになると危険なことがあります。
楽な努力とは
楽な努力とは一言で言うと「決断が伴わない努力」です。例えば、筋力トレーニングをしたり計算問題を黙々と解くというようなことです。これらは決して無駄という訳ではありませんが、それだけしかやらないのであれば、成果は得られません。時には楽ではない努力、つまり「決断が必要な努力」をする必要があるのです。
では、勉強、運動、仕事などにおける楽な努力とそうでない努力とはどのようなものでしょうか?
勉強
勉強において楽な努力ばかりするケースとして多いのは、得意科目ばかり勉強して苦手科目の勉強をしないというものです。苦手科目を放ったらかしにしていたら、受験がうまくいくはずがありません。また計算問題や自分が解けると分かっている問題を黙々と解いたり、英単語を黙々と覚えるというようなことも楽な努力だと言って良いでしょう。これらは確かに重要ではありますが、それだけではダメです。
時には苦手科目の勉強を頑張ったり、入試レベルの難しい問題に挑戦したり、模試を受けたり、自分が分からないところを整理して誰かに質問するというようなことをしなくてはなりません。そして何より、これまでやってきた勉強法の効率が悪い、または現在の学習計画に問題があると判断したら、それを中断して軌道修正しなくてはなりません。これらは決断を伴うため精神的にかなりきついものがあります。ですが、成果を出すことができている生徒は皆これをやっているのです。
運動
運動においては筋力トレーニングなどの基礎訓練が楽な努力だと言って良いでしょう。筋トレやランニングなどは何も考えずにできるため、肉体的にはきつくても精神的にはかなり楽なのです。そのため、趣味でこれらをする人も多いです。ですが、野球やサッカーの選手が筋トレやランニングばかりやっていても大会で優勝することはできません。正しい努力を一定量以上するの記事でも書いた通り、炎天下に水も飲まずにうさぎ跳びをし続ける野球部はどれほど頑張っても甲子園に行けるはずがないのです。この場合、優秀な指導者に教えてもらうことも必要ですが、自分自身でも考えて試行錯誤ながらトレーニングをしなくてはならないのです。
もちろん、趣味で運動をしている人は問題ないかもしれませんが、間違ったトレーニングで怪我をしないかだけトレーナーに確認してもらうことはした方が良いでしょう。
仕事
仕事においても、「決断を伴わない仕事」は精神的にかなり楽なのです。例えば、単純な流れ作業や自分の能力で出来ることが分かっているような仕事などです。特に年配の人には自分のやり慣れた仕事しかしたがらない人が多くいます。こういう人は時代に取り残されることになります。変化を日常の一部にするの記事でも書いた通り、変化が無いということは改善や成長が無いということだからです。
時には自分の能力では出来ないかもしれない難しい仕事に挑戦したり、新しいやり方やツールを取り入れたり、誰かに頭を下げて助力を求めたりすることが必要です。それらの決断が伴う仕事を積極的にこなしていかなければ、今後の変化の大きい時代には対応できないでしょう。
学習マネジメント塾での努力に対する考え方
上述した通り、楽な努力とは「決断を伴わない努力」です。もちろん計算問題を解いたり英単語を覚えたりすることは必要ですが、それ以上に必要なのは決断を伴う楽ではない努力、つまり正しい勉強をするために現状を分析し、軌道修正を繰り返すことです。そして、それこそがマネジメントの活動なのです。
このマネジメントは誰か優秀な指導者に代わりにやってもらうということも不可能ではありません。つまり、”決断する”ことを指導者に任せて、自分は指導者の決断に基づいて勉強するというやり方です。実際「当塾の指導する通りに勉強すれば全てうまく行きます」とアピールしている塾も多くあります。この方法でもある程度は成果を得られるでしょうが、それでも限界があります。何故なら、人に言われてやっている勉強と自分で考えてやっている勉強では、そこから得られるフィードバックの質に格段の差が生まれるからです。
想像して頂きたいのですが、同じ様に計算問題を解いている生徒に何故その勉強をしているかを訊いた時、「先生がやれと言ったから」と言って勉強している生徒と「自分の志望大学は入試の問題量が多く、計算を速くできた方が有利だから」と答える生徒では、同じ勉強をしていても大きな差が出るはずです。後者の生徒は勉強の効果や効率を考えて試行錯誤し続けるでしょうが、前者の生徒は指導者から何か言われない限り何も変えないでしょう。
だからこそ、学習マネジメント塾では、マネジメントのやり方を教えた上で勉強に必要なマネジメントを生徒自身が行うという方針を取っています。このやり方は一見遠回りにも見えるでしょうが、最終的には最も成果を得られる方法であると確信しています。