英語では、”情報”という意味を示す言葉が私が知るだけでも3つあります。それは以下のものです。

  • データ(Data)
  • インフォメーション(Information)
  • インテリジェンス(Intelligence)

これらは、全て”情報”という意味ですが、それぞれ意味が異なっています。ビジネスにおいて、情報が何よりも重要であることは言うまでもありませんが、これらの違いを明確に意識することが、仕事の出来にもかなり影響します。

余談ですが、人は語彙が増えることでより緻密な思考を行うことができます。そのため、外国語を学ぶことは単に外国人とコミュニケーションを取ることができるということ以上の恩恵があるのです。

 

データ(Data)

データは単なる計測値などの情報であり、情報の中では最もレベル低いものであると言えます。正確で大量のデータを取得するという作業は非常に重要なものではありますが、データはそのままではあまり役に立ちません。

天気予報で例えるなら、気温、湿度、気圧、風速などの情報がデータと言って良いでしょうが、これらのデータとしての情報を与えられただけで、どうすれば良いかということを判断するのは困難です。

 

インフォメーション(Information)

インフォメーションは、客観的な事実としての情報であり、日本語の「情報」に最も意味が近いと言えます。データを分析した結果として得られた情報もインフォメーションだと言って良いでしょう。

天気予報で言えば、気温や気圧などのデータを分析して得られた「明日の降水確率は80%」という情報がインフォメーションです。

 

インテリジェンス(Intelligence)

データとインフォメーションの違いは多くの人にも理解し易いと思いますが、インテリジェンスはピンと来ない人も多いでしょう。インテリジェンスはインフォメーションに対して、分析や判断を加えたものです。このインテリジェンスこそが情報として最もレベルが高いものだと言えます。

天気予報で言えば、「明日の降水確率は80%なので、傘を持って行った方が良いでしょう。」というのがインテリジェンスです。

なお、アメリカの情報機関であるCIA(中央情報局)は”Central Intelligence Agency”の略です。つまり、CIAはインテリジェンスとしての情報を集める機関なのです。このことから、少なくともアメリカではインテリジェンスとしての情報を重視しているということが推測できます。

 

インテリジェンスの報告

仕事を行う際には、報告が重要になりますが、高いレベルで仕事をしている人はインフォメーションとしての情報だけではなく、インテリジェンスとしての情報を報告しているということに気付かされます。つまり、「~という状況です。」というような報告だけではなく、「~という状況です。そのため、私は・・・のようにすべきだと考えます。」という報告を行っているということです。

私も「~という状況です。」と上司に報告を行った際に、「それで、君はどうするべきだと思うの?」と質問されてしまい、返答に詰まったことがあります。その当時の私は、「自分の仕事は上司に判断材料を提供するまでであり、判断は上司がするもの」というように考えていました。確かに最終的な判断を行う権限は上司が持っているのですが、だからと言って自分は何の意見も持たなくて良いという訳ではありません。

むしろ、上司の立場としては、現場を最も良く知っている人間からの「私は・・・のようにすべきだと考えます。」という意見こそが最も欲しい情報だと言えるでしょう。そのような形での報告をするためには、判断する能力ももちろん必要ですが、責任を引き受ける覚悟が何よりも必要になります。

何故なら、もし「私は・・・のようにすべきだと考えます。」という報告を行い、上司がその通りの行動をしてうまくいかなかった場合、多少なりとも責任が発生するからです。ですが、その責任から逃げるためにインフォメーションとしての報告しか上げてこない部下と、上司の責任を一部でも引き受けようという覚悟のもとインテリジェンスとしての報告を上げてくる部下であれば、後者の方が評価されることは言うまでもありません。

ここを理解した上で、覚悟を決めてインテリジェンスとしての報告を上げ続けることが組織で成功を収める秘訣の一つだと言えるでしょう。