行動力の無い人は、変化を嫌う傾向があります。と言うより、そもそも人間の心にはホメオスタシス(恒常性維持機能)という機能があり、現在の状況を維持し続けようとするのです。これは、人類の祖先が長年弱肉強食の世界で生きてきた結果だと言えます。弱肉強食の世界で最も優先されることは「生き延びること」です。そのため、「安全の確保」が何より重要であり、安全を脅かすような変化を嫌うのは人間の本能だと言って良いでしょう。
つまり、現在の自分や自分の置かれている環境を変化させることは本能に逆らう行為なのです。そのため、大多数の人が変化を嫌うことはむしろ自然なことだと言って良いですが、逆に言えば本能に逆らってでも挑戦し続けることができれば、成功に大きく近づくことができます。
変化が無ければ、改善や成長も無い
仕事でも勉強でも、現在のやり方を変えることを嫌がる人が多いですが、変化が無いということは、改善も成長も無いと言うことです。そして、自分がどれほど変化を嫌っても、世の中は問答無用で変わっていくため、今日は通用したものが、明日は全く通用しないということは当然のように起こります。そのような状況で変化が嫌だなどと言っていてもジリ貧になるだけでしょう。
誤解を恐れずに言えば、変化を嫌う人というのは居心地の良い場所から動きたくないだけなのです。しかし、居心地の良い場所に長く留まろうとすることは危険だと言わざるを得ません(詳しくは、居心地の良い場所の危うさの記事を参照)。
もちろん,変えるということはリスクもありますので、何でもかんでも変えれば良いという訳ではありませんし、全部一気に変えてしまうようなこともするべきではないでしょう。勉強や仕事のやり方をほんの少し、1%程度変えるだけで良いのです。仮に月に1回1%の変化でも、(変化部分が重複しないと仮定すれば)年間12%の変化となり、8年と少しで全てを変えることもできますので、世の中の変化にもついていくことができるでしょう。しかし、1%も変化させなければ、世の中の変化に対応できなくなるのは間違いないでしょう。
変化すること自体を日常の一部にする
人は、日常を変化させることを本能的に嫌うものですが、変化が無ければ改善や成長も見込めません。それを解決するためには、「変化すること」自体を当たり前のものとして日常の一部に組み込むことが良いと私は考えています。例えば、勉強や仕事において、普段とは違うやり方やより効率を上げる方法を試すということを日常的に行うのです。そのようにして、1日に1%程度何かを変えるということを当たり前のように行い続けることを習慣化できれば、長期的には大きな成長や改善が見込めるでしょう。
また、必ずしも勉強や仕事ばかりではなく、それ以外の普段の生活や娯楽でも、ほんの少しずつ変化を取り入れることは人生を楽しく、豊かにしてくれます。例えば、新しい料理に挑戦するとか、これまで使わなかった洗剤を試してみるというような小さなことであれば明日からでもできます。その他にも、着たことが無い服を着てみたり、やったことがないスポーツに挑戦したり、入ったことが無いお店に入ってみたり、というように、生活の中でほんの少しの変化を日常的に取り入れることが好ましいです。これは言い換えるなら、好奇心を持つということです。
もちろん、ギャンブルや夜の街で遊んだりするようなリスクが大きいことは控えるべきですが、リスクを考慮した上で好奇心を持っていろいろな変化を受け入れることで、新しい発見があったり、人生を変えるきっかけを見出したりすることができるようになります。
マネジメントは変化に対応するための活動
マネジメントを行う上で必要な認識のページでも書きましたが、マネジメントには万人共通・永遠不変の正解はありません。それは、マネジメントは変化に対応するための活動だからです。もし、マネジメントを行う上で、あらかじめ”正解”を決めてしまうと、その”正解”と矛盾する方法を試すことができなくなります。つまり変化に柔軟に対応できなくなってしまうのです。
とはいえ、マネジメントにも活動の基本となるものはあります。例えば、「明らかに間違った勉強」をしないようにし、「効率の良い勉強法」を奨励していきますが、当塾で推奨する「効率の良い勉強法」も決して永遠不変のものではありません。検討していけば、より良い勉強方法も見つかるでしょうし、そもそも今後大学受験の試験制度自体が大きく変わる可能性もあるのです。そのため、現時点で「効率が良いと考えられる勉強法」での学習を行いつつ、それをより発展させるために新しい方法をどんどん試してトライアンドエラーを繰り返すことが重要だと言えます。
正しい努力を一定量以上するの記事でも書いた通り、成果を確実に出すためには、ただ目の前の勉強や仕事を一生懸命にやるだけでなく、常に考え続け、改善をし続けた上で努力をしなくてはなりません。学習マネジメント塾では、そのような改善を行う”変化の習慣”を身に着けるように指導していきます。そうすることによって、世の中の変化に対応し、長期的にも大きな成果を出すことができるようになるのです。