スポーツなどでは、誰もが「勝つ」ということを目指しますが、ビジネスにおいては「勝つ」ということ以上に「負けない」ということが重要になってきます。このことについては、「マンガで分かる心療内科」の原作者であり、精神科医のゆうきゆう先生が「HUNTER×HUNTERと徒然草に学ぶ、『勝っちゃダメ』な理由」というコラム記事の中で非常に興味深い分析をされていますので、そちらも読まれることお勧めします。
負けないことは長期的な戦い
ゆうきゆう先生のコラム記事の中で、私が最も印象的だったのは、「勝つのは一瞬だが、負けないのは長期的な戦い」だという指摘でした。ビジネスとは長く続けることが非常に重要ですが、そのためには「勝つ」こと以上に「負けない」ことが必要です。
例えば、大きな利益を出して躍進した会社が数年後に経営破綻するということはよくありますし、株で大儲けしたはずの人が数年後に破産したということもよくあります。これらは目の前の「勝ち」を拾うことに夢中になって「負けない」こと、つまり長期的に存続するための戦略を軽視した結果だと言えるでしょう。それよりも、一時的な利益は大きくなくとも、コンスタントに利益を出し続け、何十年も「負けない」状態を維持して会社を存続する方が凄いと言うこともできます。
起業する際にも、借金をして多額の初期投資をして始めた場合、少し売り上げが出なければ資金がショートして破綻することになります。しかし、少額の資金で始めて、ランニングコストを極力抑えれば、多少売り上げが出なくても何年も継続することができるのです。これは「勝つ」ことはできていなくても「負けていない」状態であると言えます。
「負けない」つまり「大きく失わない」ということを実現することができれば、長くビジネスを続けることができるので、そのうちにビジネスチャンスを掴むつかむことも出来るのです。
負けない人間が最後に勝つ
ビジネスは長く続けなければ成果が出ないものです。そのため、事業を成功させた人のほとんどが長く下積みの時代を過ごしています。つまり結果が出ずに苦しい思いをしていた時代を長く過ごしていたのです。
事業と呼んでよいか分かりませんが、ヒカキンさんのような年間数億円を稼ぐトップユーチューバーであっても、最初は全く動画を見てくれる人はいなかったはずです。また、毎日何十万人もの人が記事を読むようなトップブロガーの人でも最初は全く読者がいなかったはずです。そういった状況にありながらも、彼らは”負けなかった”のです。彼らにとって視聴回数や閲覧者数が少ないと言う状況は「勝っていない」状態ではあっても「負け」では無かったのです。この場合の「負け」とは諦めてやめてしまうことです。
他のユーチューバーやブロガーが「勝っていない」状態に耐え切れず諦めていった、つまり負けていった中でも、彼らは毎日コツコツと動画を投稿したりブログを更新し続けたりし続けて、決して「負けなかった」からこそ、現在大きな勝利を得ていると言って良いでしょう。これはスポーツや受験勉強などの全てのことに言えます。
私自身、就職活動がうまく行かなかった頃に心が折れてしまったことがありました。その時の私はまさに「負けてしまった」状態だったと言えるでしょう。その時は家族のサポートで立ち直ることができましたが、私は二度とあの頃の「負けてしまった」自分に戻りたくないと思っています。これから先、うまく行かないこともあるでしょうし、どうしても「勝てない」状況になることもあるでしょうが、たとえ「勝てなかった」としても決して「負けない」、つまり全てを諦めて卑屈になるようなことはしない、と心に誓っています。