ビジネスにおいて、「人脈が大事だ」と言う人がよく居ますが、この”人脈”とはどのようなものでしょうか?人脈を作るためと言って、異業種交流会などに参加して多くの人と名刺交換をしている人は本当に人脈を作ることができているのでしょうか?あるいは友達が多い人は人脈を持っていると言えるのでしょうか?私はそうは考えていません。

 

人脈とは「自分のために動いてくれる人」との繋がり

人脈というものは”単なる知り合い”ではありません。人脈とは「自分のために動いてくれる人」との繋がりだと言えます。そのため、どれだけ多くの人と名刺交換をしたとしても、それだけでは「知り合いが多い人」でしかありません。人は単なる知り合いのために動こうとは思わないものです。

では、人はどのような相手であれば「この人のために動こう」と考えるのでしょうか?それは恩のある相手です。昔、お世話になり、その恩返しをしたいと思っている人から何か頼み事をされた場合、人は喜んで手を貸すのです。例えば、新人の頃に親切に仕事を教えてくれた先輩がいたとします。その先輩が何か困っていることがあったら力を貸したくなるでしょう。つまり、言い方は悪いですが、人脈を作りたいのであれば「相手に恩を売る」必要があるのです。

 

友達は人脈とは呼べない

友達も「自分のために動いてくれる人」と言えるのかもしれませんが、私であれば「俺たち友達だろ~」と言って頼みごとをしてくる相手とは友達をやめたくなります。そのため、友達は厳密には人脈とは呼べません。友達とは”情”で結びついている関係ですが、情に甘えて相手に過剰な要求をするようなことをすれば、その情も無くなってしまいます。

例えば、あなたが友達から「車で10分程度の距離にある駅まで迎えに来て」という頼み事をされたとします。その程度であれば大した手間ではないかもしれませんが、しょっちゅうそのような頼み事をされていて、相手が自分のために何もしてくれないのであれば、そのうち「いい加減にしろ!」と言うでしょう。しかし、もしその友人の方も自分が出かける時に駅まで送り迎えしてくれるのであれば、お互いに交通費や駐車場代を節約できるので、win-winの関係になります。つまり、”友達だから”ではなく、”相手も自分のために同じことをしてくれるから”、友人の送り迎えを気持ちよくできるのです。

友達を人脈にしたいのであれば、友達という立場に胡坐をかかずに、友達のために動くことが別に必要になります。

 

誠実な仕事をする

誠実な仕事をするだけでも、人脈というものは増えていきます。もしあなたが大きな病気になり、ある医者がその治療をしてくれて健康を取り戻すことができたとします。その先生は、お金をもらって仕事として治療を行ったということは分かっているでしょうが、それでもあなたはその先生に感謝するでしょう。

つまり、仕事であっても”支払った料金以上の働きをしてくれた”と感じた場合、人は恩を感じるのです。そのため、ある地域で長年誠実な仕事をし続けてきた人は、その地域に強い人脈を持っていると言えます。

私の父は地元で50年以上商売をしてきました。そのため、地元には「私は木山さん(父)だから仕事を頼んでるんだよ」と言ってくれるお客様が多く居ますし、「木山さん(父)に頼まれたら断れないよ」と言ってくれる業者も多く居ます。父は特別安い料金で商売をしている訳ではありませんが、それでも父からお客様が離れることはないのです。それは父が長年”料金以上の仕事”をしてきたという信用があるからこそでしょう。この”信用”や”人脈”こそが父が長い年月をかけて築いてきた最大の財産だと言えます。

 

人脈を得たいのであれば

誠実な仕事をし続けるだけでも、人脈は得られますが、意識して人脈を作ろうと考えているのであれば、多くの人とのつながりを持ち、その上で相手に恩を売らなくてはなりません。つまり、相手が欲しがるものをこちらから提供しなくてはならないということです。

ですが、この時に気を付けなくてはならないことがあります。それは”犠牲的な貢献”はするべきではないということです。人脈が欲しいからと言って、自分の時間やお金を人のためにばかり使い続ければ疲弊してしまいますし、心無い誰かから搾取されることも考えられます。”人の仕事を自分が代わりにやろう”ではなく、あくまで“自分の仕事で人に貢献する”という考えのもと、周りの人とwin-winの関係を築くことが、強く広い人脈を作ることに繋がると言えるでしょう。