多くの学生は授業を受ける時にノートを取りますが、そもそもノートは何の目的で取っているのでしょうか?一番多いのは、先生が黒板に書く板書をそのまま書き写すというものです。正直、私も高校生の頃は特に疑問も抱かずに、板書をノートに書き写していましたが、今から考えるとあれは本当に無駄な行為だったと思います。

自分は何を目指しているのかのページで詳しく解説していますが、「綺麗なノートを取ること」が目的になっていては意味が無いのです。ノートは理解するために取るものであるということを大前提として考えなくてはなりません。

 

ノートを取る時の間違った考え方

まず、ノートを取る際の間違った考え方について書いておきます(私も高校生の頃にしていた考えです)。

間違った考え1:授業で教わったことを正確に記録しよう

授業を受ける目的は理解することであり、記録することではありません。そのため、板書を書き写すことに夢中になって授業内容を理解できていなければ本末転倒です。そもそも、授業というものは”板書”と”口頭での説明”の二つで構成されているので、板書だけを書き写しただけでは授業の正確な記録を取ることは不可能です。

もし、板書を正確に記録するだけであれば、今の時代は(許可を取った上で)スマホやデジカメで板書を撮影した方がよほど正確で効率的でしょう。

 

間違った考え2:綺麗にノートを取って、後で復習しよう

「綺麗に取ったノートを使って後で復習しよう」という考え方も一見正しいように見えますが、実は大きな問題があります。授業の内容を理解しながら取ったノートであれば問題は無いのですが、“綺麗にノートを取ること”が目的化して板書を書き写している場合、そのノートが後で復習する時に役に立つことはありません。何故なら、上述したように板書を書き写しただけのノートには”口頭での説明”が残っていないので、それだけでは理解できない場合がほとんどだからです。

 

 

ノートの取る時に気をつけるべきポイント

では、私が考えるノートを取る時の正しい考え方や気をつけるべきポイントを以下に列挙していきます。

①自分の中で理解した内容に基づいて記録する

授業の目的はあくまで「理解すること」です。そのため、授業中は理解することに集中し、自分の中で「なるほど、こういうことか」と理解することができた内容を断片的で良いので書き残すという要領でノートを取ることが望ましいです。つまり、授業の内容を頭にインプットし、自分の頭の中からのアウトプットをノートに残すということです。

アウトプットによる学習の記事でも書いた通り、人間はアウトプットすることで、インプットの効率が飛躍的に向上します。コツとしては、授業で説明を受けた内容を後で子供に教えるつもりでノートを取るのが良いでしょう。そのようにノートを取っていけば、情報が一度頭に入っているため、後でノートを見返した時にもスムーズに思い出すことができるようになります。そのようなノートの方が正確に板書を書き写したノートよりも遥かに復習に役立ちます。

 

②全てを記録しようとは考えない

授業中に先生が話した内容や板書の内容の全てを記録しようなどと考えるべきではありません。そんなことをすれば、記録することに忙しくて、理解することに集中できなくなります。授業の内容を残すのはノートではなく、自分の頭の中であるべきです。ノートは自分の頭の中の情報をスムーズに取り出すためのものだと割り切って、重要なポイントや授業全体の話の流れをざっくりと残すことができれば十分と考えた方が良いでしょう。

 

③理解できなかった部分や疑問点を書き残す

①で「理解した内容に基づいて記録する」と書きましたが、聞いていても理解できない部分はあるでしょう。理解できていなかればアウトプットを記録することもできません。その場合は、理解できなかった部分や疑問が残る部分について、「ここが分からなかった」ということが分かるような書き方でノートに残しておき、それを後で先生に質問するなり調べ直すなりすれば良いのです。

 

④自分一人が理解できれば十分と考える

授業では理解することが最も重要です。そのため、ノートを取った本人が後でそのノートを見た時に、授業の内容が思い出せるようになっていれば十分なのです。従って、人に見せることを前提としてノートを取る必要はありません。

友達からノートを貸してほしいと頼まれたらどうするのか?と思う人もいるかもしれませんが、別に友達のためにノートを取っている訳ではありませんし、その場合はそのノートを使って友達に解説してあげれば良いのです。”人に教える”という行為も非常に効率の良い学習方法であるため、それは教える自分自身にとっても有益な行為だと言えます。

 

 

 

 

社会人になると、授業を受けることはあまりありませんが、会議などで議事録を取ることはあります。この時、確かに”正確さ”も求められるのですが、正確な記録はICレコーダーなどで録音しておけば残すことができます。それよりも議事録に求められるのは、ポイントを押さえて、短く、シンプルにまとめることです。一言で言えば”要約する力”が必要ということです。

頭の良い人は、この”要約する力”があるから、一見複雑なものでも的確に理解し、正しく対応することができるのです。これはビジネスにおいても勉強においても強く求められる能力の一つです。授業で理解した内容に基づいて、アウトプットを記録するというノートの取り方は、その能力を養うためのトレーニングだと言ってよいでしょう。

慣れないうちは、多少的外れなまとめになってしまうこともあるでしょうが、正確さなどにこだわらずにアウトプットを記録するトレーニングを続ければ、物事への理解力が格段に高まり、学習効率も飛躍的に向上するはずです。